レイピア序章1
昨晩までの大雪が嘘のように、空は輝くばかりの青色に彩られていた。庭園は隙間なく白い雪に覆われていて、少年はたまらなく足跡をつけてまわりたい衝動に駆られたが、そんなことをすればお目付役から叱責を受けることがわかっていたので、ぐっとこらえた。
それでもうずうずとした気持ちが抑えきれず、少年は庭師たちに見つからないように庭の最奥にある泉を目指した。あそこならばきっと人目につくことはない。幼少の頃からの知恵だった。
ところが少年の確信は、泉に近付くにつれて不可思議な感覚に揺らいでいった。足跡がある。しかも真新しく、この足跡の持ち主の慌ただしさが容易に想像できるほどに荒々しいものだった。
嫌な予感がする。少年は恐る恐る泉に近付いていった。大昔の神話をモチーフにした石膏像で囲われた泉は、雪に覆われていて静寂の中にひっそりと眠りについていた。
白い息が震える。手と足の指先に感覚がなくなる。それなのに、体の中が異様に熱くなっていることに、少年は戸惑いを覚えた。
(お母さま……!)
心の中で母に助けを求める。いつも心細いときや不安なときにやさしく抱きしめてくれた母の姿を思い浮かべた。
それでもうずうずとした気持ちが抑えきれず、少年は庭師たちに見つからないように庭の最奥にある泉を目指した。あそこならばきっと人目につくことはない。幼少の頃からの知恵だった。
ところが少年の確信は、泉に近付くにつれて不可思議な感覚に揺らいでいった。足跡がある。しかも真新しく、この足跡の持ち主の慌ただしさが容易に想像できるほどに荒々しいものだった。
嫌な予感がする。少年は恐る恐る泉に近付いていった。大昔の神話をモチーフにした石膏像で囲われた泉は、雪に覆われていて静寂の中にひっそりと眠りについていた。
白い息が震える。手と足の指先に感覚がなくなる。それなのに、体の中が異様に熱くなっていることに、少年は戸惑いを覚えた。
(お母さま……!)
心の中で母に助けを求める。いつも心細いときや不安なときにやさしく抱きしめてくれた母の姿を思い浮かべた。
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